「髪の王様」と呼ばれるブリンガラジ -意外に身近にある髪に良い薬草-

「髪の王様」と呼ばれるブリンガラジ -意外に身近にある髪に良い薬草-

oil stories — bhringraj

インドで「髪の王様」と呼ばれてきた薬草があります。ブリンガラジといいます。日本語の名前は、タカサブロウ。ナーガラージのスカルプオイルに入っている、重要なオイルです。

「髪の王様」と呼ばれた薬草

アーユルヴェーダの古い書物に、この薬草はいくつかの名前で登場します。

  • ケーシャラージャ髪の王
  • ブリンガラージャ蜂の王
  • マールカヴァ古典に伝わる呼び名

ケーシャは髪。ラージャは王。そのまま「髪の王」です。

いっぽうブリンガは蜂。小さな白い花に蜂がよく集まることから、こちらは「蜂の王」と名づけられたといわれています。

ひとつの薬草に、蜂の王と、髪の王。ずいぶん王様の多い名前です。


じつは、日本の田んぼに生えています

ここからが、この薬草のいちばん面白いところかもしれません。

ブリンガラジはキク科の一年草です。学名は Eclipta prostrata。白く小さな花が咲きます。英語では「フォールス・デイジー」——にせのヒナギク、と呼ばれています。

そしてこの薬草は、日本にも生えています。

和名はタカサブロウ。水田の雑草として、あるいは湿った土地に、ごくふつうに生えている薬草です。田んぼの畈を歩いていたら、たぶん踏んでいます。

インドで「髪の王様」と呼ばれてきたものが、日本では名前も覚えられずに抜かれている。同じ薬草なのに、扱いがずいぶん違います。

ちなみに「タカサブロウ」という和名の由来は、諸説あってはっきりしないそうです。人の名前のようでいて、誰のことなのか分からない。そこも少し不思議な薬草です。

茎を折ると、黒くなる

この薬草には、はっきりとした特徴がひとつあります。

茎を折ると、切り口がすぐに黒く変わるのです。

その汁で、筆のように字が書ける。昔の人はそうやって遊んだり、実際に書いたりしていたようです。

折れば黒くなる薬草を、
人は髪の王と呼んだ。

黒くなるから髪に結びついたのか。髪に使ってきたから黒さが意味を持ったのか。順番は分かりません。でも、この薬草をめぐる話にはいつも「黒」がついてまわります。

中国でも、髪に使われてきました

この薬草は、中国の伝統医学にも登場します。名前は旱蓮草(かんれんそう)。

別名を墨旱蓮(ぼくかんれん)といいます。「墨」の字が入っているのは、まさに、茎を折ると黒くなることから来ています。日本の人が字を書いて遊んだのと、同じ性質に名前をつけたわけです。

そして中国でも、この薬草は髪と結びつけられてきました。古い処方書では、髪を黒く保つための生薬として扱われています。

インドと中国は、何千キロも離れています。伝統医学の体系もまったく違う。それなのに、両方がこの同じ薬草を、髪のために選び取っていた。

そしてその同じ薬草が、日本の田んぼにも生えている。

これは、ひとつの仮説です。

アーユルヴェーダは、いまのインドのあたりで生まれました。それが少しずつ大陸を渡って、中国へ、中東へと広がっていった。そしてそれぞれの土地の風土や食べもの、暮らしに合わせて形を変えながら根づき、やがてその土地だけの伝統医療になっていった。

そう考えると、一見まったく関係がなさそうに見える中医学やアジアの伝統医療に、アーユルヴェーダと通じるところがこれほど多いことにも、説明がつきます。

アーユルヴェーダは、こう読んだ

アーユルヴェーダは素材を「何に効くか」ではなく、「どんな性質を持っているか」で読みます。

ブリンガラジについて、古典はこう書き留めています。

  • 辛味と、苦味
  • 軽い・乾いている・鋭い
  • 性質温める
  • 鎮めるもの風(ヴァータ)と、火(ピッタ)

ここで、ひとつ引っかかることがあります。

温める薬草なのに、火を鎮める。矛盾しているように見えます。

鍵は、苦味です。アーユルヴェーダでは六つの味それぞれに性質があって、苦味は冷ます側の味とされています。ブリンガラジは、温める薬草でありながら、味の側で熱を鎮める。

そしてこれは、この薬草の使われ方とぴたりと合っています。

アーユルヴェーダは、髪が早く白くなることも、抜けていくことも、頭にこもった火が毛穴に入り込むことと結びつけて考えてきました。髪の問題の中心には、火がある、と。

温めながら、
熱を鎮める。

火を鎮める薬草だから、髪の章に置かれた。アーユルヴェーダの書物をめくっていくと、髪の章には、ほとんど必ずこの薬草の名前が出てきます。数ある薬草のなかで、髪という一点にこれほど強く結びつけられたものは、そう多くありません。

「王」と呼ばれた理由は、たぶんここにあります。

体質別の、付き合い方

ピッタ

熱がこもる、赤みが出やすい、頭皮が熱っぽい。——苦味が、この火を鎮める側にはたらきます。伝統的には、この体質にこそ向き合ってきた薬草です。

ヴァータ

乾いて、かさつく、ぱさつく、冷えている。——温める性質が、この冷たさに向き合います。ただし薬草そのものは乾いた性質なので、オイルに溶かし込んで使うのが伝統の形です。

カパ

べたつく、重い、張りついた感じ。——軽さと鋭さが、この重さに向き合います。

じつは、市販のシャンプーにも入っています

あまり知られていませんが、この薬草は現代の日本のヘアケアにも、すでに使われています。

成分表示の名前は「タカサブロウエキス」。シャンプーやトリートメントの成分表に、ときどき見つかります。

おそらく大半の方は、それが何なのか知らないまま使っている。インドで「髪の王様」と呼ばれ、中国で「墨旱蓮」と呼ばれ、日本の田んぼに生えているあの薬草だとは、まず思わないでしょう。

今度、お手持ちのシャンプーの裏を見てみてください。案外、入っているかもしれません。

ナーガラージのオイルについて

ブリンガラジ(タカサブロウエキス)は、スカルプオイル awaken your roots の中心にある素材のひとつです。頭皮をすこやかに保つために。

つけて、そのまま置いておくだけ。洗い流す必要はありません。夜のうちに頭皮になじませておく、それだけの使い方にしています。

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